【Day1】ブラック初出社

いよいよブラックインターン初出社の日がやって来た。

10時出社に向け、満員の山手線に乗ってインターン先に向かう。

面接で一度訪れたことのあるビルに到着。
面接時には通されなかった、オフィスフロアに上がった。

ドアを開けて目に入ったのは慌ただしいオフィス。

どの社員も自分の持ち場で営業の電話、事務作業に集中している。

一介のバイトである俺が入ってきたことなど、誰も気づかないし気にも留めない。

何も指示を与えられず、ドアの前でぼーっと突っ立っていると、駆け回る社員たちの波に流されそうになった。

しばらくして、「〇〇くんおはよーッス!!」と、いきなり声をかけられた。

見るとそこには何とも肌艶の良い、頼れる先輩風の社員さんが!

「とりあえずコレパソコンね!」「これ書いといて!」と、
パソコンと契約書類一式を渡された。みるからにめっちゃ忙しそうで、
一応インターン担当の社員さんみたいだが、結局話をしたのはこの時と帰るときだけだった。


ほどなく分かったのは、このインターンはほぼ自由っていう事。

後述する業務内容の説明は僅か一分で終了し、

以後8時間の勤務時間は、いつ休憩を取るか、またどのように工夫するかはすべて俺の自由。

誰からも指示が与えられないし、別に怒られることもない。どのタイミングで休憩を取ってもOK。

あるのは成約人数だけだ。

このインターンで俺が担当する業務は、「学生相手に就活イベントの電話営業をする」というもの。

既に用意された学生のリストに、ひたすら8時間電話をかけ続ける。

これ、一見すると非常な単純労働でなんと苦行な・・・と思うかもしれないけど、

実はそんなにつまらなくない。

営業の成否ってひたすら失敗の連続で、

まずインターン新人なんてのはキョドりまくりで話にならない。

「こっこんにちは。。!あたくし就活し、支援の、をしてます株式会社○○の・・・」

なんて一応やってみるけど、知らない電話番号から、こんな挙動不審な電話がかかってきたら俺なら間違いなく切る(笑)

ただああしたら今度行けるんじゃないかっていう期待だけはあって、」

だから退屈だけは全然しなくて、8時間はあっという間に過ぎた。

俺の挙動不審な営業にも関わらず、なんとイベントに来てくれるという学生さんはそれでも何人かいて、
この日は
106件電話をかけて
53人電話に出てくれて、
15人イベントに来てくれることになった。

電話を掛けた内、出てくれるのが50%。
そして出てくれた人への営業成功率が30%弱か。


もともとちびっこ相手にクソほど声を張り上げるのには慣れているので
仕事のために無駄にテンションを上げる技術は持っていたのだ。

「こんにちはッ!!!いまお電話大丈夫ですかッ!!!」みたいな感じで行けば、とりあえず謎の説得力が生まれるらしく、

そこそこアポを取ってくれる学生さんもいた。ありがたや。

ちなみに100件アポを取るごとに3万円の追加報酬が出る。さすがは実力主義ベンチャーといったところか。


前評判からクソブラックと聞いていた会社だが、中に入ってみればそこはエネルギッシュな若い社員がいる刺激的な会社。


壁には期間別の営業成績のランキング表が所せましと貼り付けられている。

ちょっと高校時代を思い出して懐かしい気分。

こういう実力主義の場所に身を置くときの心構えは、これまで20年の人生である程度把握している。

「ダメなら卑屈で嫌な気持ちをする、うまくいけば気楽でいい」というものだ。

とにかく誰からも指示されないし、やることは8時間ずっと決まっている。

ホントに気楽で自由で、時間が経つのが早くていい。

適当にアポ断られて、社員さんの営業電話を聞いて、工夫してってのを繰り返していれば、8時間なんてあっという間だ。


何よりアポが取れるのも楽しい。

電話を掛ける瞬間はギャンブルみたいなアドレナリンが出て、

「もしかして次でアポ獲れるんじゃないか」

みたいに射幸心が掻き立てられる。

ホントに退屈しない、いいバイト気分な一日だった。(時給1500円)